ある小学校のA先生のお話(1)

A先生の勤務する学校で、春にカラスが金属製のハンガーや枝、紐などをどこかで調達して来てはせっせと巣を作り、卵を産んだそうです。

お母さんカラスが卵を温めてお父さんカラスが餌を運んでくる役割で育てていくのだそうです。

ある日、カラスが鳴いているのを見た上司のY先生が用務員の方に話していました。

Y先生「ちょっと相談があるんです。最近カラスが“巣”を作っていましてね、カラスは子育て中に気が荒くなるのですね。ですからヒナが孵ると子供たちが襲われる危険性があります。そこで“巣”を取り払いたいので手伝っていただけますか?」

用務員さん「ヒナが生まれたら飛び立ちますし、もう少し待ったほうが良いと思いますが。」

そう渋る用務員さんに、

Y先生は「協力をお願いします。子ども達のためですから。」と説得して巣を取り壊してしまったそうです。

それまでのカラスは学校の校庭近くの電柱や電線にとまって、時々「カアッ」と鳴くだけだったそうです。

しかし、ある日の全体朝礼の時のことです。

今日はいつもより数倍煩いと感じました。カラスの鳴いている方を見ると、家族でしょうか?プールのフェンスの上に数匹が並び鳴いています。

カラスの数が増えている・・そんな変化に気づいたのは自分だけだろうか。

“やっぱりなあ、昨日だものね。巣と卵を撤去したのは。卵を盗られたカラスの気持ちはどんなに辛いだろう。”とA先生は心の中で何回も思ったそうです。

「やっぱりそうだ!!」。これは偶然ではない。

A先生が確信したのは次の瞬間でした。

次号に続く

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