庄屋の跡継ぎの今世(4)

彼と彼の父親は過去世でも親子でした。
過去世では父親の偉業を知らずに不平不満で生きていた彼が、今世では父親の仕事を手伝い、過去世でも今世でも自分の父親が沢山の人を救っていたお蔭で今回自分たちが救われた事を知りました。

「先生、俺やっぱり「鬱」じゃなかったです!!」
久しぶりに現れた彼はニコニコして報告してくれました。

「先生、俺ね、やっぱり鬱じゃなかったです。本当にあのままだと、どんどん暗い気持ちになってしまうところでした。あの日以来、心が安定したというか、自分は、今世ではしっかりと人生を謳歌しようと前向きになりました。それに、今のままではいけないと、勉強をするためにもう一度他の会社で働いて社会のことや父親の会社のこれからの事も考えてみようと思っています。」

「それはすごい成長ね。」

「あ、そうですか。照れますね。父親の会社のことは安心しましたし、父親のところにいてはやっぱり甘えが出てぶつかりそうにもなります。」

「お父さんの考えは分かっていますか?」

「父親はいつも『お前を信じているよ・・』と言います。信じてもらっているうちに何かに挑戦しなくては・・と、少しですけど・・あ、ホントは凄く心が焦ります。(笑)
それから・・この前から自分は鬱じゃないとわかったのですが、何だか胸の辺りがムカムカしたり頭が痛かったり、背中の辺りがだるいのですけれど、これは鬱の症状ではないですよね?やっぱ時々心配になります。」

「えーとね。あなたが車の中でゲームかメール??をしているのが見えます。それに自宅でも・・。暇さえあれば携帯を見ているの??」

「あ、はい。ゲームです。(笑)」

「ずっと下向いて打っているでしょう?運動不足による血行不良から来る肩こりと偏頭痛。そして液晶画面を食い入るように見つめる、あなたの目の疲労からくる吐き気と首の凝りです。少しこの場で筋肉がリラックスできるように軽く首を動かしてみましょう。」

「はい。首を・・・ゆっくりですね。」

首をゆっくり回したり、上下に動かしたります。肩もゆっくり呼吸法と共に・・・。
「はい、いかがですか?」

「あれっ??軽い!!で・・・す!!」

「携帯もパソコンもとても便利なので分かります。けれど、人間は身体を動かさないで同じ姿勢でいる時間が長いとそれは積み重なり大きなリスクとなるでしょう?頭では分かっていてもね?ゲームはそろそろ卒業の準備に入ってきましたね。」

「わかりました。もうゲームは止めます!!っていうか、分かっていたんですけれどつい・・気分転換にと。良かったです、これを機会に止めます。うわぁ~それにしても、さっきまでの肩とか頭が重かったのは何だったんですかね?先生、ありがとうございました。先生また来ていいですか?来ますけど(笑)。

父親の会社も軌道に乗り一安心したので、ホッとした自分と、もっと頑張ろうと思う自分がいます。
それが何をやればいいのか知っている自分がいて、話しているうちに一つになります。なんだかそんな気がします。」

ニコッと笑う彼は前回来たときの様子とは違っていました。
言葉使いも社会人としての自覚も出て変わりつつありました。そして目標を持ったことで、生活も変わりはじめました。

セッションの終了時間がきて、立ち上がり椅子を元に戻そうとする彼に、読むべき本を勧めてみました。

「誰かに言って欲しいと思っていました。『この本を読みなさい』って。1冊の本を読んで自分の人生観が変わったという話は結構、聞きます。自分にも言ってくれる人がいて、本当に嬉しいです。早速買って読みます。」

人は何かの瞬間に変わる。
それは自分の意志であることには間違いないけれど、言葉使いや立ち居振舞いまでが変わっていく彼をみて日本の将来・世界・地球の未来までもが明るく成長していく様子がみえ、楽しみになりました。

おわり

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