庄屋の跡継ぎの今世(2)

私たちは誰でも人生を終えて、肉体を抜け出しあちらの世界にまた戻りますが、その時に、前の人生を振り返って全てを見せられます。悪い事も良い事も。

今回の人生では、その時に学べなかったことをもう一度計画して、体験しているのです。その為に今の「両親」と「きょうだい」や「日本」という環境を選んできます。

Aさんは過去世では一般人とは隔離された金持ち庄屋のボンボンでした。
私に見える、その時代の彼の日常は、奥座敷に座り、その時代の大先生と言われる人々から日々学んでいました。
短歌に俳句、論語にお茶の稽古。そして上級と言われる人々をおもてなしする為のお作法を、徹底的に教え込まれるだけの、自由の無い籠の鳥のような生活です。

しかし周りの人達には「ボンボン」と持てはやされ、何不自由ない生活をしていると羨ましがられる日々でした。

自由の無い彼には何の喜びも幸せもありません。ただ毎日が言われるままに過ぎていくだけの退屈な日々。

ある日の午後、お招きを受けたお城へ行く途中にお祭りで賑やかな町を通ります。

その風景は自分の全く知らなかった世界でした。         
何故、子ども達も大人達も無邪気に笑っているのだろう・・。どこもかしこもにぎやかな声。大声で笑ったり、話したり。それに道端で何かを食べている。着ている服だっていろいろだ・・・。

彼は生まれてこの方あんなにニコニコした人や楽しそうに動いている人を見た事がなかった。
食事だっていつも決まった時間に出されたものを一人で食べるだけなのに、ここでは皆がワイワイとお互いにお酒を酌み交わし、全くお作法も何もありゃしない!!
何もかもが生まれて初めて見る光景だった。

それに比べ自分と言えば、何を見てもつまらない・・。何を食べても感動しない。
自分は何の為に生きているのかを考える事もなく只ただ生きているのみ、生かされているのみだった。

家に急いで戻り、外の世界のことを自分の世話を焼いてくれている年寄りに聞いてみた。

「それはボンボン、住む世界が違います。ボンボンはお父さんのこの庄屋を継いで、お殿様やお代官様のお役にたてるようにならなければいけません。これは人の性というものです。武士の子は武士になるように庄屋の子は庄屋になります。そこらの町民とは違うのです。」

その日を境に庄屋のボンボンである彼は町民の世界が気になって仕方ありませんでした。
しかし彼は運命に逆らう事ができないままその一生を終えます。

つづく

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