私を忘れた母(1)

勉強会での公開セッション(先生への質疑応答)では、時間の許す限り複数の方の質問にお応えしています。どなたの質問も、自分も求めている回答として皆様真剣に聞いて下さいます。

どの内容にも「ちょうど知りたいと思っていたことだった!」などとビックリされる方が多いのですが、今回ご紹介する質問も私たちの周りにある何故??でした。

Aさん(女性)のお母様はその年の1月に亡くなられました。

入院中のお母様は、どういう訳かAさんの事だけ思い出してくれなかったのだそうです。

Aさん「母は私のことをどう思っていたのでしょうか?私が一番母のお世話をしたのですが、全く分からないようなのです。軽い認知症だと思うのですが、毎日顔を合わせても分ってもらえず、ついにはケンカをするようになってしまいました。自分だけ母に忘れられるなんて、嫌われていたということでしょうか??私のことを認識しないまま、ケンカしたまま亡くなったので、とても気がかりです。」

優しそうなAさんは、とても辛そうです。

自分の事だけ忘れられてしまうなんて、何か母の気に入らない事でもしてしまったのかしら・・と毎日思い悩んでいたそうです。

そのお話を、白河がニコニコしながら聞いているのを、その時の会場の皆さんは不思議そうに眺めていました。

何故なら、その時の会場には同じような経験をしたり体験談を友人や親せきから聞いたりしている人が何人もいらしたからです。

白河「Aさんは一番上?長女ですね?」

Aさん「はい。そうです。下に妹がふたりいます。母はその妹たちのことは、名前も呼びますし、よく分かるのです。わたしだけ、名前も分からず他人行儀な言葉使いです・・。」

白河「そうですね。お母さんにとって、初めての子どもだったあなたの幼い頃の印象がとても強いようです。あなた達姉妹はお母さんの自慢で、特にAさんあなたは、今もそうですけれど、それはそれは愛らしく、ご近所でも評判の女の子でしたよね??」

Aさん「あ、はい。母はとても可愛がってくれていました。それなのに何故・・。」

つづく

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