三人のお爺さん(1)

起業している女性Aさんとお話をしていました。

話が一段落した時、彼女が身を乗り出し、目を真ん丸にしてこう言いました。

Aさん「私、知りたいことがあるのですけど、もし良かったら教えて下さい。

きっと私だけでなく他にも聞きたい人はいっぱいいると思うのです!!」

白河「はい。何でしょう?どうぞ」

思わず笑ってしまいました。何故なら彼女の質問はこうだったのです。

Aさん「あのう・・ずっとお聞きしたかったのですが、どういうことがきっかけで見えない世界のことが聞こえたり見えたりするようになったのですか??」

色々なところでお話してきたつもりでいましたが、そう言えば最近は話していませんでしたね。

私は今でも仲良しのきょうだいが5人います。

幼い頃は、末っ子だったからでしょう、私は母の傍にべったりとくっ付いていました。

母の背中のぬくもりを今でも覚えています。

そのせいか、両親が大切なお客様や近所の方達とお話をするのを、母におんぶされたり父に抱っこされたりしながら聞いて育ちました。

お客様と話したことの続きを、両親がその後家で話したりしているのを、私は

「あ、そうなんだ・・。」と子ども心に納得したり、

「え?それはおかしいでしょう・・」と思ったりしていたことも覚えています。

子どもはわからないようで、ちゃんと聞いているものです。

赤ちゃんだからとか、幼いからとか、油断する大人は多いですが、『しっかりと聞いているかも』と思って普段から接してほしいものです。

私が小学生低学年の頃のある夜中、実家のお隣の犬が吠え続けていました。

父はその異常な吠え方を気にして、翌朝お隣の犬の様子を見に行きました。

戻ってくるなり

「あれじゃあ、犬のケンタも眠れる訳がないよ。昔の井戸の上に犬小屋が移動してあった。井戸の神様の逆鱗に触れたんだよ、きっと。だから今、井戸の神様に訳を話して犬小屋を横に動かしてきたよ。きっと今夜からはケンタもぐっすり眠れるだろう。」

はたして・・・隣のケンタはその日から夜中に吠えることはなくなりました。

その時も、井戸の神様って??会えたの??どんな人?どんな話したの?

わけは分からないけれど「へー、話したら分かるんだ・・」と思ったものでした。

こうして、日本昔話にでも出てきそうな話を、私は他にもたくさん聞かせてもらって育ちました。

やがて私も結婚し、子ども達が大学生になったある日、私の前に三人のお爺さんが現れました。

つづく

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