胸を打つ詩(1)

ある日の午後、「白河先生、この詩のことをご存じですか。」とAさんが詩を紹介してくれました。

数行読んで、「ああ、読んだことがあります。これは刑務所だったかどこかに隔離された人が、壁に書き残したものだったと記憶しています。壁に残されたものを見つけた人が感動して世に広げたが、作者は分からないとのことだったのでは??」

と答えた私。

そうそう今から16~7年以上前、確か新百合ヶ丘のオフィスで初めて読んだときに“人生について自分自身と対話”したことを思い出しました。

が、私の記憶からはすっかり無くなっていたので、彼女にその詩を転送してもらいました。

後で調べたら、南北戦争に従軍した兵士が、ケガの治療の為に入院していたニューヨーク州立の大学病院の病室の壁に書き残されたものだと分かりました。

なんと私の写真に残したような記憶は、すり替わっていました。病室の壁に残されたものが刑務所の壁に。

人間の記憶って、あいまいですね(笑

さて、以下は、ニューヨーク大学付属ラスク・リハビリテーション研究所のロビーに掲げられた作者不詳の詩です。

その後、この詩は、多くの悩める人々に慰めと感動を与え、世界中へ広がっていきました。

この無名の兵士の詩が広く人びとに知られるようになったのは、1950年代、元大統領候補だったA.スティーブンソンがクリスマスカードに記したことがきっかけだそうです。

彼は52年と56年の大統領戦に民主党候補として出馬しましたが、二度とも、アイゼンハワー大統領に敗北。

失意のさなかに、彼は田舎の教会でこの詩をみつけ、深い感銘を受けたのだそうです。

A.スティーブンソンから贈られたクリスマスカードを見て、ハーワード・H・ラスク博士(リハビリの父)も、この詩に感動しました。

そこで、彼は銘板をつくり、自分が創立したリハビリテーション研究所のロビーに掲げたのです。

そして、いまも人の心に何かを与えているのでしょう。

つづく

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