バレンタインデーの涙の訳(2)

2023年2月14日差出人Y・Tさんより

『白河先生

「二月は光の春」の言葉そのままに、澄んだ日差しが嬉しい季節となりました。まだまだ寒い日が続きますが、先生はお元気で過ごしでしょうか。

今日はちょっと懐かしいお菓子をお送りしました。昔々、テレビでも「♪千鳥饅頭のチロリアン」というCMが流れていた千鳥屋さんのものです。

先日大宮駅のエキナカで、たまたま千鳥屋さんの期間限定ショップに出会いました。

その時、急に記憶がよみがえったのですが、3・11の夜、私は千鳥屋さんに助けられたのです。長文になりますが、お読みいただけましたらありがたく存じます。

当日、月島(東京)で地震にあい、夕方になってやっと高層ビルから出られた私は、帰宅難民になりました。駒込の友人が自宅に呼んでくれましたが、歩き続ける事5時間半。

駒込に近づいたときには昼から飲まず食わずで疲労困憊していました。

周囲の商店街が皆シャッターを閉めた夜道に、遠くの千鳥屋さんのお店がぽつんと明るい光を放っていました。それは本当に心強い灯りでした。

近づいてみると、歩道に店員さんが立ち、時折通る歩行者に「お菓子をどうぞ!」と呼び掛けていたのです。「どうぞ、お手洗いも使ってくださいね。」と声をかけ続けていました。

時刻は22時半過ぎ。その思いやりにあふれた言葉が、心底ありがたかったです・・・。

当時のことを急に思い出した私は、店員さんに「3・11の時、千鳥屋さんに助けて頂いて」と声をかけました。するとその店員の方は弾かれたように動き別の店員さんを引っ張ってきてくれました。その方こそ当時のお店の責任者。最初に声をかけた方とのお二人が、当時歩道でお菓子を配っていた方々だったのです。

「こんな偶然ってあるのでしょうか」と互いに喜びながら、あの時の気持ちが沸き上がってしまいお互い涙が沸いてきました。

つづく

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